病院で、なにもすることがなく待ってるとき、母が、階段に手すりをつけた、って言う。
いつ?
そう聞いたら、今日、だって。
今日??!
今日の昼過ぎに、手すりをつける工事をしたんだって。
終わって、工事の人が帰って、2階から父が下に降りてきて、で倒れた。
結局、父がその手すりを使ったのは、片道の一度だけだったという。
いつも2階でいたから、2階の部屋で倒れなくてよかった。
それで見つかるのが遅くなってたら、最期を見届けられなかったかもしれない。
手すりがどんななのか、触ってみたかったのかも。
それで、部屋から出てきたのかも。