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一日が終わる

朝、ヤラカス(変な名前の葬儀場)に着いて、ハプニング発生。
駐車場からヤラカスへと歩いていて・・、なんかおかしい。
最初、なんなのかわからなかった。
で、革靴、底が崩壊しているのに気づく。

ヤラカスの廊下、エレヴェータ、黒い足あとができてる、靴底の黒いかけらをまきちらしながら歩いてる、父に、動くな! と命じられる。
まるで廊下に立たされているような光景、こういうこと、よくあるんですよって、ヤラカスに人が言ってた。
つまり、黒の革靴なんて、めったにはかないもの、時間の経過とともに、靴が劣化してて。
久しぶりにはくと、靴が崩れてしまうんですって。
ましてや、雨で地面が濡れていたからでしょう。
こういうときのための黒の革靴、ヤラカスの人が貸してくれた。


葬式は、とどこおりなく進んだ、やはり、最後、ひつぎを完全に閉ざしてしまうシーンは、最高に悲しい。
花を全部、祖母の周りに入れる。
花を入れながら、指の背のとこで、そっと祖母に触れてみる、やわらかくてひんやり。
食べ物に例えていい? 冷蔵庫に入れている大福、って感じ・・。
すごいきれいな顔で、なんか死んでいるって感じがしなくって、眠るように、なんてありきたりな表現がぴったりなんだけど、やはり、まぎれもなく祖母は生きてはいなかった。

祖母の3人の娘(長女が僕の母)が、やはり一番声を出して泣いてる。
母は、祖母の顔の横に手紙を置く。
(今、これを書きながら思い出して泣いてしまう)
僕も泣いたけど、祖母のことを考えながら泣く、というより、娘たちが泣いてるのにつられて泣いてしまう、もらい泣き、っていうのに近い。
花を全部入れて、ひつぎにふたを置く。
昔は、くぎを打ち付けたりしてたけど、今回は、四隅に専用のシールみたいなのを、みんなで貼るような感じ。


次、火葬場へ移動、マイクロバスに乗って、火葬場は、ひっきりなしに稼動してた。
壁の中に吸い込まれるみたいに、祖母は炉の中へ、エレヴェータみたいに扉は閉まって、祖母のひつぎは見えなくなった。

お茶を飲んだり、アイスを食ったりして、祖母が骨になる時間を過ごす。
大学時代のサークルの先輩にMail、今朝、黒の革靴が崩壊してしまったことを報告。
この革靴は、14年前に買ったもので、サークル活動用のものだったから。
大学4年間は、就職活動も含め、この革靴はほんとよくはいたなあ、思い出の靴だった。


祖母は骨になった。
さっきまで、ひつぎの中でひんやりしてたのに、今は台の上ですごい熱い。
もう誰も泣かない。
コンコン、って係りの人が骨をたたくと、かさかさ、って小さく崩れる。
長さの違うお箸で、順番に壷に骨を収めていく。

普段、ご飯を食べるのに使うお箸を、ここでも使うのって、なんか不思議。
これ、誰がはやらせたの??

壷に入って、待っているマイクロバスにみんな乗り込む。
すごい、システマティック、混んでいるからとはいえ、流れるように作業が進む、って感じ。
帰りのマイクロバス、来るときとは、わざと違う道で帰るんだって。
母が教えてくれた。

(刑務所の勤めを終え出所したとき、ふり返って高い壁を見ると、また刑務所に戻ってくるらしい、って話をなぜかここで思い出して、言おうかどうか迷って、言わなかった)

ヤラカスへの帰りのマイクロバス、運転が荒く、酔ってしまってしんどかった。

最後の食事をしたりして、一同は解散した。
姉や親戚を送って、帰宅。


歴史が好きなパパと2時間ドラマが好きなママは、別の部屋で暮らしている。
いや、同じ家で、別のフロアに部屋がある、ってことで、仲の良い夫婦よ。
帰宅して、それぞれが部屋に戻った。

僕は、バスに酔ったりして疲れてたから、ちょっと寝て回復を待った。
起きると、母は座椅子でうなだれるみたいな格好で眠りこけてた。

僕は、すごく、ぬくもりがほしい、というか、セックスとは違う意味で、誰かに抱きしめてほしい、って気持ちが強かった。
今回の葬式、なーんの苦労もしていないのに、誰かになぐさめてほしい、って気持ち。
父と母は・・、そういうのないのかしら?
まあ、それどころじゃないくらい疲れてるんだろけど。
(ちょうど、今日、両親が勤めた会社の建物の解体の日だったらしい。
母は、祖母の世話と会社のこと、両方から解放されて、縛られることがなくなってしまったみたい。
でも、父との生活がまだあるから、まあ、空っぽになってしまうことはないんだそうだ。
父も、新たな楽しみをなにか見つけてほしいところだ)

実家を出て、ラフに寄ってから、2時間かけて高松の部屋に戻った。
ラフのタカヨシクンがはなしの相手になってくれて、ちょっと気分も落ち着いた。
by ishokuju | 2008-08-29 00:00
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